旬のはなし

千葉県で研究やってます。もうすぐアラサー

冬の下北沢

東京にいる。

僕は東京育ちの神奈川県人だと自分のことを思っている。

僕は人生のほとんどを荻窪という街で過ごして、大学に入ってからつくばに引っ越した。

けど、少しだけ違う街に住んでいたことがある。

下北沢

家の都合で、高校生の時、一年だけ住んでいた。

正確にはその一駅隣の新代田駅近くのボロアパートだけれど。

好きなアーティストのライブが昨日あったので、行ってきた。6年ぶりくらい。

ライブの前後、フラフラと歩いてみた。

知っている道。知っている街。けど、自分が馴染まなかった街。

荻窪も馴染んだかと言われればそんなことはないけれど、でも下北沢は本当に馴染まなかった。

別に肌が合わなかったわけでもなく、楽しかったわけでもなく。

なんだか他人の夢を見ている感覚というか。

そういう感じでただただフラフラ歩いた。

駅前は工事していて、少し変わっていた。けれどほとんど変わっていなかった。

学校帰りに寄ったピーコックの本屋、親と食べに行った王将、一回も行かなかったけど大きな本多劇場

他にも古着屋とか、雑貨屋とかパン屋とか。色々あった。

今思うと、下北沢は当時の僕にとってはまだ早すぎた。

服を選ぶ楽しみも、食べる楽しみも、音楽や劇を楽しむ金も感情もなかった。

今住んだら絶対楽しいだろうな。

けど、

それでも、いろいろなことを思い出した。

井の頭線の寒いホームで縮こまっていたこと

ピーコックで親と惣菜を買いに行ったこと

荻窪よりうんと小さいブックオフによく本を漁りに行ったこと

そうだった。秋から春にかけてしか住んでいなかったから、夏の思い出がないんだ。

けど、だから冬が僕にとっての下北沢の全てだ。

次、あの街に行くのはいつなんだろうか。

そんなことを、ふと思う。